脳神経外科ジャーナル
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特集 グリオーマ研究の最先端:基礎と臨床
グリオーマの診断と治療に有用な放射線診断学の進歩
成相 直
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2014 年 23 巻 7 号 p. 559-568

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抄録
 グリオーマの基礎研究と新規治療法開発に関する臨床研究が進歩すればするほどに, グリオーマの神経画像診断に求められる要件は腫瘍の局在のみでなくその性質や増殖能を評価し, 治療効果を早期に判定するといった機能評価に重点が置かれるようになってきた. 最先端の放射線診断機器としてPET-MRIが開発されてドイツ, 米国, 日本に順次導入されつつある現時点では, そのような腫瘍の生物学的性質の機能計測としての機能的神経画像診断の適切な組み合わせの模索の必要性がますます強調されるようになっている.
 現時点でのグリオーマの病態と治療効果の判定のために, 有用な画像診断技術に関し自験例の提示と文献レビューから考察を行った. (1)グリオーマの代謝イメージングとしてのPETとMRS, (2)グリオーマの血管床と透過性のイメージング, (3)薬理学的PET計測のグリオーマへの応用, (4)最近の注目すべき画像診断法という項目についてまとめた.
 先端の機能的画像診断法の利用は基礎研究と臨床研究を連結するかけ橋となり得ると考えられる. グリオーマ治療の進歩に機能的放射線診断学をどのように活用していくかが今後求められる課題であると考える.
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© 2014 日本脳神経外科コングレス

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