脳神経外科ジャーナル
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特集 脳動脈瘤の最新知識―成因・病態から最先端治療まで―
脳動脈瘤の血行力学
—血流の数値シミュレーションの現状と臨床応用への課題—
大島 まり石上 雄太早川 基治
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2014 年 23 巻 9 号 p. 710-715

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抄録

 脳動脈瘤の発症, 成長, 破裂は, 血流によって引き起こされる力学的刺激が重要な役割を果たすことが指摘されている. 力学的刺激には, 圧刺激, 進展刺激, ずり刺激の3つが挙げられ, その中でも特に壁面せん断応力は内皮細胞に影響を与え, 脳動脈瘤を考える際に重要な力学的刺激といわれている. 本研究は, これらの力学的刺激を定量的に捉えるために, 医用画像や計測データから得られる患者の血管形状に対して数値解析を適用し, 患者個別の血行動態の情報を得るとともに予防や診断を生かすことのできる支援システムの構築を目指している. 本論文では, 血液の流体力学 (血行力学) や患者個別のシミュレーションの概説とともに, より生体に近い現象を再現するための末梢血管や血管壁の弾性の影響を考慮したマルチスケール血流—血管壁の数値解析について紹介する.

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© 2014 日本脳神経外科コングレス
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