脳神経外科ジャーナル
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特集 脳神経外科手術における構造・機能解剖の可視化―1
穿通枝の外科解剖—ICG videoangiographyと神経内視鏡の有用性—
片岡 大治飯原 弘二
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2015 年 24 巻 1 号 p. 12-18

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抄録

 穿通枝障害は重篤な神経症状を生じることが多いため, その外科解剖を理解することは脳神経外科顕微鏡手術においてきわめて重要である. 特に, 脳動脈瘤クリッピング術の際は, 穿通枝の解剖学的バリエーションと脳動脈瘤との関係について理解しておく必要がある. 前脈絡叢動脈は, 動脈瘤のドームから起始することもあり, また2~4本存在することがあるため, そのような場合には注意が必要である. レンズ核線条体動脈は通常中大脳動脈水平部 (M1部) の後壁から分岐するが, 時としてM1-2分岐部やM2から起始する. 視床下部動脈は前交通動脈の後面から起始するため, pterional approachでは確認することが困難である. 穿通枝の温存のためには, 動脈瘤周囲の穿通枝をすべて確認することが必要で, 神経内視鏡は顕微鏡の死角となる部分の観察に有用である. 穿通枝の血流を温存するようにクリップをかけ, クリッピング後はドップラー超音波流量計, ICG蛍光血管造影, 運動誘発電位などの神経生理学的モニタリングなどの術中モニタリングで穿通枝の温存を確認する. それぞれのモニタリングには偽陰性が生じ得るため, 複数のモニタリングを組み合わせて使用することが重要である.

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© 2015 日本脳神経外科コングレス
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