2015 年 24 巻 5 号 p. 310-317
本稿では脊髄髄内腫瘍, 脊髄動静脈奇形の手術を安全かつ確実に行うための手術中の工夫について紹介した. 脊髄髄内腫瘍の手術では, 5-ALAあるいはICGによる術中蛍光診断が有用である. これにより脊髄と髄内腫瘍の境界判別が可能になり, 腫瘍摘出率の増加と良好な予後につながった. 脊髄動静脈奇形の手術では, 三次元融合画像を用いて複雑な血管構造を可視化することが, 治療方針の決定に役立った. 手術では, 顕微鏡に神経内視鏡を併用すると複数の光軸からの観察が可能になる. 脊髄背側から進入し脊髄腹側の血管構造観察と手術操作が可能となり有用である. 脊髄病変の最大限の摘出/切除と脊髄神経機能温存の両立のために, 術中の可視化は重要である.