脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
特集 出血性脳血管障害
治療困難な脳動脈瘤への治療計画とその実践
中山 若樹長内 俊也寳金 清博
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 25 巻 1 号 p. 15-26

詳細
抄録

 巨大動脈瘤や解離性動脈瘤などの, クリッピング自体が困難な動脈瘤に対しては, 何らかのバイパス複合手術が行われる. 動脈瘤の諸条件やその治療戦略は実に多岐にわたり, 現代において治療法を組み立てる考え方は, 共通の理解のもとで徐々に確立されつつある. バイパスとしてはSTAやOAなどのlow flowとRAなどによるhigh flowがあり, バイパスの意義としては, ①最終的にクリッピングに持ち込むまでの長時間母血管遮断に対する虚血保護, ②クリッピングに伴い犠牲になる分枝のalteration, ③トラッピングもしくは母血管閉塞に伴うflow reversalに大別される. いずれにおいても, 正常脳灌流が着実に担保されるように, 手術戦略を綿密に計画する必要がある.
 そして実際の手術においては, 計画した手術内容が的確に効果を発揮しているかを判断するための術中モニタリングがきわめて重要である. MEPやSEPなどの電気生理学的モニタリングは必須であろう. また選択するバイパスの種別が適切な流量かの判断は時として難しい場合があるが, 手術台と血管造影装置によるハイブリッド手術室の利用や, ICG蛍光血管造影/FLOW800®, transit-time血流計などが的確な術中判断に寄与してくれる.

著者関連情報
© 2016 日本脳神経外科コングレス
前の記事 次の記事
feedback
Top