脳神経外科ジャーナル
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特集 悪性グリオーマに対する治療
原発性悪性脳腫瘍に対する光線力学療法 (PDTの臨床)
丸山 隆志村垣 善浩新田 雅之都築 俊介安田 崇之生田 聡子川俣 貴一
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2016 年 25 巻 11 号 p. 895-904

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抄録

 タラポルフィリンナトリウム (レザフィリン®) を用いた光線力学療法は悪性脳腫瘍に対する新たな治療法の1つとして認可された. 当初, 早期肺癌に対して開発され医師主導治験を行い悪性脳腫瘍への適応拡大に至った. 新規膠芽腫13名に対する臨床試験の結果では, 特記すべき有害事象はなく12カ月後無増悪生存期間は12カ月, 全生存期間24.8カ月であった. このうち東京女子医科大学から登録された11例の再発パターンの解析では, 4例が光線力学による照射範囲から, 2例は放射線照射野内から, 4例は遠隔からの再発が確認された. レーザー照射部位の画像上の変化は表面から約10mmまでに及び, 照射後約2カ月間で消失していることが観察された. これらの結果より本療法は腫瘍摘出術後残存部分に対する局所制御効果に寄与する治療であり, 照射領域へのダメージは少なく選択的に抗腫瘍効果をもたらす可能性が示唆された. 本療法の治療成績, 臨床上の注意点について本稿では解説を行う.

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© 2016 日本脳神経外科コングレス

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