脳神経外科ジャーナル
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特集 脳機能解剖の多次元解析
言語と空間性注意の神経心理学
石合 純夫
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2016 年 25 巻 5 号 p. 427-434

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抄録

 神経心理学は, 局在性脳損傷によって起こるさまざまな症候を分析し, 病巣との関連から脳の働きを知ろうとする臨床神経心理学が基本となって発展してきた. このような症候論は, どちらかといえば亜急性期から慢性期の病態を扱っている. 一方, 脳神経外科領域の覚醒下手術中の電気刺激あるいは脳腫瘍等の切除過程で評価される症状は急性の病態をみていることになる. 症候論に加えて, 近年は機能画像研究や拡散テンソルトラクトグラフィ−等の脳画像研究の進展により, 神経心理学は, 巣症状の考え方から神経ネットワークとしての捉え方へと変化してきている. 急性に起こる症状はしばしば一過性であり, 神経ネットワークの冗長性によって, その構成部分のうち損傷されても機能脱落が慢性的とならない部位が少なくない. 脳神経外科手術においては, 術後1カ月頃の機能的予後を重視すべきであり, 覚醒下手術中の所見と臨床神経心理学の知見とのすり合わせを行うことが望まれる. 本稿では, 左半球の言語の神経ネットワークと右半球の空間性注意のネットワークに注目して, 必要十分な切除範囲を判断するのに役立つ情報を整理したい.

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© 2016 日本脳神経外科コングレス
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