2016 年 25 巻 8 号 p. 654-659
髄膜腫は最も頻度の高い良性腫瘍である. 増大も緩徐であるため, 患者には治療法を選択する十分な時間がある. したがって, 医療者は現時点でのエビデンスに精通し, 患者へ正しく情報を提供し, そして患者自身が納得する治療方針を提示することが望ましい. 本稿では, こうした目的に必要な「髄膜腫の治療適応についての判断」と「いかに治療をするかの行動決定」に資するような近年のエビデンスを整理した. 特に, 髄膜腫の自然歴, 無症候性髄膜腫に対する治療適応, 現代脳神経外科における手術摘出度と予後の相関, 放射線治療, WHO Grade Ⅱ/Ⅲの非良性髄膜腫の治療方針に焦点を当て概説する.