2016 年 25 巻 8 号 p. 671-681
頚椎椎弓拡大形成術は整形外科医によって提唱された術式のためか, 脳神経外科医による長期成績報告は非常に少ない. そのためわれわれ脳神経外科医が手慣れた手術顕微鏡を用いて行った正中縦割法による同術式に対する術後成績をJOAスコア, レントゲンで評価した. 平均観察期間は5.1年で, JOAスコアは記載方法が多少異なるが (術前は看護師指導のもと患者記入, 術後は完全患者自己記入), 術前平均11.1から最終12.8へ改善し, 平均改善率は28.8%であった. さまざまなパラメーターで比較した各疾患群の術後成績に差異はなく, また他の報告や, 異なった術式間においても大差はなかった. さらなる正確性を期するにはフォロー率を上げ得る前向き調査が必要であろう.