脳神経外科ジャーナル
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特集 てんかんと機能的脳神経外科の課題と展望
パーキンソン病・不随意運動症に対するDBSのアップデートと将来展望
山田 和慶篠島 直樹浜崎 禎
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2017 年 26 巻 12 号 p. 873-881

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抄録

 パーキンソン病 (PD) ・不随意運動症の治療アルゴリズムにおいて重要な一角を占めるDBSについて, 現状を整理し, 近未来を展望する.

 【PD】視床下核 (STN)-と淡蒼球内節 (GPi)-DBSの総合的な優劣はつけ難い. むしろ使い分けの議論が必要であろう. 一般にレボドパ反応性の欠如は, DBS除外基準であるが, 薬剤抵抗性体軸症状を改善させ得るターゲットとして, 脚橋核 (PPN) が期待されている. Directional (current) steeringにより, 近傍脳幹構造への電流拡散が制御できれば, 副作用が低減されるであろう. 【ジストニア】GPi-DBSの効果は統計的に確立しているが, 成績は均質ではない. DBS効果の予測因子について考察する. 【本態性振戦】経頭蓋集束超音波 (FUS) 治療が登場し, 視床腹中間 (Vim) 核凝固術が再評価されている. ただし副作用の観点から, 両側FUSは現時点では推奨されない. 【その他の不随意運動症】Lance-Adams症候群, 代謝性神経変性疾患, バリズム, Holmes振戦など, まれな不随意運動症も理論上DBSの適応になり得るが, 比較的少数の症例報告にとどまる.

 新技術導入によるDBSの発展を推進する一方で, 疾患および患者特性に基づいた適応の最適化が必要である.

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© 2017 日本脳神経外科コングレス

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