2018 年 27 巻 11 号 p. 810-817
半球間裂アプローチ (IHA) は, 大脳正中およびその近傍病変に適応されるが, 前方からanterior IHA, middle IHA, posterior IHAの3つに分けると理解しやすい. 術野確保のため半球間裂を広げるが, 脳ベラによる脳圧排はときに静脈灌流障害や脳挫滅を招く. これらの合併症は, 術前に架橋皮質静脈を十分評価し, 左右のアプローチ側を決め, 静脈を十分に剝離することや頭位の工夫で避けることが可能である. 特に術野で大脳縦裂を水平にするhorizontal IHAは以下の理由により脳へのダメージを軽減しうる. 脳自重の利用で脳ベラ使用を最小限にし, 水平方向に広い術野を確保できる. 本法に必要な手術体位と頭部固定について症例を提示し解説する.