2018 年 27 巻 11 号 p. 818-827
Subtemporal approachは, 側頭葉内側病変に加え, 硬膜外頭蓋底病変にも応用されるため, さまざまなバリエーションがある. 基本的なポイントは, 側頭葉が前方で中頭蓋窩に深く陥入しているため, 脳ベラ圧排による脳損傷と静脈損傷を回避することである. 側頭葉圧排を軽減するために, 中頭蓋底に沿った開頭を行い, テント下病変に対しては錐体骨を追加削除する. 静脈損傷を回避するために, superficial sylvian veinの灌流路やLabbé静脈などの架橋静脈を術前にチェックし, 温存する工夫を行う. さらに, 最近の内視鏡手術の進歩により, 経鼻的に中頭蓋窩・側頭窩下へアプローチ可能となった. 一方, 鼻腔・副鼻腔構造はバリエーションが多く, 画像解析に基づく手術シミュレーションが重要である. 本稿では, 中頭蓋窩の手術解剖, 注意すべき静脈を含め, subtemporal approachの基本とバリエーションについて概説する.