2018 年 27 巻 5 号 p. 380-385
日本の要介護者の原因の第1位は脳卒中であり, また小児脳腫瘍は小児固形癌の中で最多である. さまざまな問題を抱えながら生活していくあらゆる世代の患者とその家族への継続的な関わりは, 脳神経外科医の重要な課題である. 症状も患者背景も多彩であり, 該当する社会保障のすべてを熟知することは困難だが, ソーシャルワーカーなど多職種の力を借りることで患者の負担を軽減すべく医療チームのリーダーとしての役割を果たす必要がある. また国民皆保険下において, 診療の対価である診療報酬は国民の自己負担と公的な負担によって賄われており, 医師として, 医療保険制度の基本構造と保険診療のルールを理解しておくことが求められる. 本稿では, 医療保険, 介護保険, 社会保障について概説するとともに, 脳神経外科の日常診療で特に重要と考えられる社会保障について, 申請のポイントなども含めて示す.