2019 年 28 巻 5 号 p. 289-294
悪性髄膜腫と酷似した画像所見を呈した孤発性神経サルコイドーシスの症例を経験した. 75歳, 女性. 右半身麻痺, 失語, 意欲減退を主訴に外来を受診した. ガドリニウム造影magnetic resonance imagingにて円蓋部から大脳鎌にかけて造影される腫瘤性病変を認めた. Positron emission tomographyやMR spectroscopyを用いて鑑別を行ったが, 悪性髄膜腫と酷似する所見を認めた. 開頭腫瘍摘出術を施行すると, 病理診断は神経サルコイドーシスであった. 頭蓋内占拠性病変の診断・治療においては, 孤発性神経サルコイドーシスを鑑別疾患の1つとして念頭に置く必要があると考える.