脳神経外科ジャーナル
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特集 良性脳腫瘍
下垂体腺腫の手術適応と治療戦略
登坂 雅彦山口 玲好本 裕平
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 28 巻 8 号 p. 470-479

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抄録

 下垂体腫瘍に対する経鼻的手術は内視鏡が本格的に導入され大きな変革期を迎えた. 内視鏡下手術では, 以前より広い骨削除が容易となり, 手術の自由度が向上した. これにより下垂体腺腫被膜と周囲組織の境界を確かめ, 被膜外摘出を行うことが基本になってきている. 下垂体腺腫は頻度の高い脳神経外科疾患であるが, 多くのバリエーションがあり, 手術適応と治療戦略において専門的な配慮を要する. 非機能性腺腫においては視機能の改善が治療の目的である. 大型分葉型の下垂体腺腫は特に手術危険度が高く, 治療戦略に関してさまざまな工夫が現在も続いている. 機能性腺腫では内分泌学的治癒が治療の目的となる. 内科的治療や放射線療法などに関する知識や, 内分泌内科医との連携も必要である. 経鼻的手術法とその応用, また内分泌学に関する十分な知識と経験に基づいた手術適応と治療戦略の決定が必要である.

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© 2019 日本脳神経外科コングレス

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