2020 年 29 巻 3 号 p. 173-180
膠芽腫は増殖・浸潤能が高く, その全摘出は不可能ではあるものの, 後方視的解析の積み重ねにより, 安全な範囲での最大限の摘出は予後延長に寄与すると考えられている. しかし, 特に再発例に対する手術摘出においては, 適正な患者選択を行わないと手術によりむしろ予後を悪化させる可能性もあり注意が必要である. 術前術中の機能マッピングを含めた手術支援技術の進歩の他, 光線力学的診断・治療法など, 種々の手術に関わる新規技術も利用可能となってきている. しかしながら, 非造影病変摘出の是非, 高齢者に対する手術適応, 脳可塑性の利用, 分子情報を考慮した手術戦略, 免疫療法との組み合わせなど, 今後も解決すべき課題は依然として多い.