2020 年 29 巻 9 号 p. 652-657
Carotid webは内頚動脈内に限局的な線維筋性異形成を生じ, 血管狭窄をきたすまれな疾患である. 今回頚動脈内膜剝離術 (CEA) を施行し, 経過良好であった1例を経験した. 症例は70代女性, 突然の左片麻痺, 構音障害をきたし, 右M1に閉塞を認めた. tPA静注療法, 血栓回収療法を行い, TICI2bの再開通を得た. 右内頚動脈起始部に壁不整を認め, その他の脳梗塞として治療を開始した. 第6病日に頚動脈エコーで同部位に可動性血栓を認め, CEA施行した. Carotid webおよび血栓を一塊として摘出し, 再発なく自宅退院となった. Carotid webは, 異常な構造物によって血流のうっ滞・血栓が生じ, 塞栓症を引き起こす. 薬物治療のみでは再発リスクが高く, 早期に外科的治療を考慮する必要がある.