2021 年 30 巻 1 号 p. 52-57
脳脊髄液漏出症は脊髄硬膜の損傷部位から髄液が硬膜外に直接漏出することにより発症すると考えられている. 今回, 髄液が神経根鞘内に滲入, 貯留停滞後に滲出したと考えられる症例を経験した. 19歳女性が7年間続く起立性頭痛と随伴症状を主訴に受診した. 脊髄MRI/MRミエログラフィーで右第4仙骨神経根袖に相当する部位に, くも膜下腔と連続する辺縁不整, 増強されない縄状水信号病変を認め, 脳脊髄液漏出症 「確実」 と診断した. 2度のブラッドパッチ後に, 起立性頭痛は消失し, 随伴症状は軽減, 脊髄MRミエログラフィーで縄状水信号病変も消失した. 髄液が神経根鞘内へ滲入, 貯留停滞後に滲出するという漏出機序が存在するかもしれない.