2021 年 30 巻 1 号 p. 59-63
胎児型後交通動脈が動眼神経を圧迫し, 動眼神経麻痺をきたした症例を経験した. 症例は60歳女性, 突然の左動眼神経麻痺で発症し精査にて左内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤が発見され手術を行った. 術中所見で脳動脈瘤ではなく胎児型後交通動脈が動眼神経を圧迫しており, 動脈瘤頚部クリッピングを施行したところ後交通動脈の走行が変化し動眼神経圧迫解除や牽引, ねじれの軽減などにより, 手術直後より動眼神経麻痺は急速に改善した. まれな例ではあるが, 内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤の増大により胎児型後交通動脈の走行が変化し動眼神経麻痺をきたしたと推察された.