2021 年 30 巻 11 号 p. 773-777
急性期血栓回収術に関する最近のエビデンスを整理して, 現時点での適応の限界を知ることを目的とした. 血栓回収術は5つのランダム化試験の結果を受けて, 現在の普及につながってきた. 近年は適応拡大に関する未解決領域のエビデンスが続々と報告され, 国内外のガイドラインも度々改定や追補されている. 最終健在確認時刻より6~16時間経過した症例への血管内治療の有効性が強く示された. M2以遠の末梢動脈閉塞症例の血管内治療の有効性も報告されている. 一方, 後方循環閉塞症例や広範梗塞症例への血管内治療の有効性を調べる試験も現在進行している. 血栓回収術の適応は, 今後も臨床試験の結果で拡大されると思われる.