2021 年 30 巻 11 号 p. 778-784
心原性脳塞栓症への抗凝固療法はnon-vitamin K antagonist oral anticoagulants (NOAC) を主に用い, 発症2週間以内が開始時期の目安である. 非心原性脳梗塞の急性期の抗血小板薬併用療法 (dual antiplatelet therapy : DAPT) は3週間をめどに行う. 長期DAPTにはシロスタゾールがよい選択肢となる. 塞栓源不明脳塞栓症 (embolic stroke of unknown sources : ESUS) に対するNOACはアスピリンを上回る効果は認めなかった. ESUSの原因には潜在性心房細動や卵円孔開存, 動脈原性脳塞栓症などが考えられ, 個別化が必要である. 抗凝固療法中の出血には拮抗薬で対処する. 血管危険因子の管理として脂質はLDLコレステロール70mg/dl未満を目指す. がん関連脳梗塞にはヘパリン皮下注が可能である.