2021 年 30 巻 2 号 p. 115-119
近年, 光遺伝学やウイルスベクターなどによる回路操作技術が開発されたことにより, 脳神経回路研究が飛躍的に進んだ. これらは主に実験動物を用いたミクロレベルの回路研究であるが, ヒトを対象とした研究でも, MRIの撮像・解析技術開発が進み, ヒトの脳コネクトーム解析が盛んに行われるようになった. それにより, マクロレベルでの脳領域間回路機能の理解が進んでいるが, 全脳における神経細胞の解剖学的なつながりだけでなく, そのつながりがもつ機能的な役割を含めたネットワーク的視点での理解が, 脳の働きを理解するうえで重要である. そこで本論文では, マルチモーダルMRIによる脳領域間結合解析法について紹介する.