2021 年 30 巻 5 号 p. 356-364
WHO grade Ⅱ/Ⅲ髄膜腫は治療困難である. 近年のWHO分類改定以降grade Ⅱ髄膜腫の頻度が増加した. 手術治療は, grade Ⅱ髄膜腫の無増悪生存は全摘出のほうが亜全摘出よりも優れるが, grade Ⅲ髄膜腫では全摘出の優位性はない. 術後放射線治療 (PORT) に関しては, grade Ⅱ髄膜腫では亜全摘出後のPORTは有効である. 一方近年grade Ⅱ髄膜腫全摘出後のPORTも有効とする報告が多い. 高線量照射や中性子捕捉療法を含む粒子線治療も有効と報告されているが, ともに現在臨床試験が進行中である. Grade Ⅲ髄膜腫は予後不良だが, PORTは有効である. 薬物療法の使用に関しては再発時に検討してもよいが, 臨床試験での有効性は限定的であった.