脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
特集 悪性脳腫瘍
WHO grade Ⅱ/Ⅲ髄膜腫に対する外科的治療・非外科的治療の現状と展望
阿久津 博義松田 真秀石川 隆昭
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 30 巻 5 号 p. 356-364

詳細
抄録

 WHO grade Ⅱ/Ⅲ髄膜腫は治療困難である. 近年のWHO分類改定以降grade Ⅱ髄膜腫の頻度が増加した. 手術治療は, grade Ⅱ髄膜腫の無増悪生存は全摘出のほうが亜全摘出よりも優れるが, grade Ⅲ髄膜腫では全摘出の優位性はない. 術後放射線治療 (PORT) に関しては, grade Ⅱ髄膜腫では亜全摘出後のPORTは有効である. 一方近年grade Ⅱ髄膜腫全摘出後のPORTも有効とする報告が多い. 高線量照射や中性子捕捉療法を含む粒子線治療も有効と報告されているが, ともに現在臨床試験が進行中である. Grade Ⅲ髄膜腫は予後不良だが, PORTは有効である. 薬物療法の使用に関しては再発時に検討してもよいが, 臨床試験での有効性は限定的であった.

著者関連情報
© 2021 日本脳神経外科コングレス

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
次の記事
feedback
Top