2021 年 30 巻 7 号 p. 530-537
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 (MTX-LPD) は, 低用量メトトレキサート (MTX) 療法中に発生する医原性疾患である. 関節リウマチのためMTXを内服していた2症例で, MRIで大脳に多発性のリング状造影病変を認めた. 開頭生検術を施行し, 病理組織学的検査でEpstein-Barr virus陽性のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫を示した. 低用量MTX療法に基づきMTX-LPDと診断し, MTX中止後, 病変は退縮した. MTX-LPDは節外病変主体だが, 中枢神経発生はまれである. MTX-LPDはMTX中止のみで改善することがあり, 本疾患を認識し, 早期に生検術を行い診断に至ることが重要である.