2022 年 31 巻 12 号 p. 764-770
頚動脈狭窄症に対する治療に関してはこれまでに多くのrandomized controlled trial (RCT) が報告されてきた. 内科的治療に対する頚動脈内膜剝離術 (carotid endoarterectomy : CEA) の優位性が示された後に, CEAハイリスク症例に対する頚動脈ステント留置術 (carotid artery stenting : CAS) の非劣勢が示された. さらに最近では無症候性病変を対象としたRCTが進行している. 頚動脈病変の治療リスクとしては高度脳循環予備能低下例における治療後の過灌流症候群や不安定プラーク例における術後血栓塞栓合併症などが知られている. 前者に対してはCEAにおいてはシャント使用による虚血時間の短縮, CASにおいては段階的血管形成術による抑制効果などが報告されている. 後者に対してはMRI, CT, USなどの種々のプラークイメージングの有用性が報告され, さらに最近ではoptical coherence tomography (OCT) やnear infrared spectroscopy (NIRS) を用いた新たなプラーク性状評価の報告が示されている. また, 新規医療機器としてマイクロメッシュステントが本邦においても導入され, CAS治療における血栓塞栓合併症低減効果が得られることが示唆されており, 今後の成績向上が期待されている. また内科的治療に関しては, 血圧や生活習慣リスクの改善, 抗血栓薬やスタチンその他の薬物治療も進化してきている. 今後もCEA, CAS, 内科的治療それぞれの合併症を最大限軽減するさらなる工夫とともに, 年齢や既往などの疾患背景や病変の病態に応じて最良の治療選択を模索していくことが求められている.