2022 年 31 巻 4 号 p. 234-239
小児頭部外傷は日常的に遭遇する疾患で, ほとんどが軽症で手術加療を要さないが, 小児特有の病態を理解したうえで診療にあたる必要がある. 放射線感受性の高い小児に対して放射線被曝はできるだけ避ける必要があり, 欧米ではエビデンスに基づいたCT撮影基準が提唱されている. 小児特有の病態 (頭蓋外血腫・副縫合・良性くも膜下腔拡大と硬膜下水腫・虐待・減圧開頭術後の骨吸収) についても概説する. 小児頭部外傷では, 虐待か事故かの判断など, 脳の専門家として社会的な対応を要求されることがあるので, 最新の知識に基づいた正確な診断・治療を行わなければならない.