2022 年 31 巻 8 号 p. 500-508
ロボット手術は低侵襲手術をより安全・確実に実施することを可能にする技術である. 現在脳神経外科領域においては, 定位手術において精度と能率を向上させるための補助に主に用いられている. 一方で人の手による手術を超える技術は開発途上である. 欧米および日本では, マイクロサージェリーに適したロボットとして, 内視鏡下のロボット, MRI内でマイクロ下手術を可能とするシステム, さらに深部手術, スーパーマイクロサージェリーを可能にするシステムなどが開発中である. ロボット手術が広く普及するための必須条件として, 安全性・確実性の他にロボット手術が従来の手術に比較して十分な付加価値のあることが重要である. またロボット手術は, 外科手術のデジタル化につながり, さまざまな外科要素を数値化し客観的な評価および訓練の導入を可能にする. さらに人工知能を導入することにより, 周囲組織・機器を同定し, 精度の高い操作を補助する, また自動で画像やセンサーガイド下の計画・指示どおりの手術治療を可能にするシステムの確立が可能となると考えられる.