2023 年 32 巻 12 号 p. 802-807
もやもや病は内頚動脈終末部の進行性狭窄を特徴とする原因不明の疾患で, 虚血例ならびに出血例を含めた症候性患者に対する浅側頭動脈-中大脳動脈バイパス術が標準術式として確立している. 術後再発例には後頭動脈-後大脳動脈バイパス術も追加手術の選択肢として用いられる. 狭窄病変に対する血管内治療は効果が低く行われないが, 脳室周囲吻合からの繰り返す出血に対する選択的塞栓術は有用である. 疾患感受性遺伝子RNF213多型を有する患者においては間接血行再建からのpial synangiosisの発達がより顕著であることが明らかとなり, 遺伝子型に応じた術式選択など個別化医療への期待が高まっている.