2023 年 32 巻 2 号 p. 99-108
脳動静脈奇形 (brain arteriovenous malformation : bAVM) はその多様性, 稀少性から治療方針決定に難渋することが少なくない. 未破裂bAVMに対するランダム化比較試験であるARUBAは未破裂例に対する安易な侵襲的治療に警鐘を鳴らした. しかし, bAVMの多様性を考慮に入れない試験デザインに対する批判的意見もあり, 最近の研究データに基づいて侵襲的治療の有効性を見直す動きもある. 治療技術やデバイスが日進月歩の状況において, われわれ脳神経外科医の役割は, 侵襲的治療介入を行うべき適切な症例を層別化し, 新規治療技術を導入しながらbAVM全体の治療成績向上に寄与することであろう.