2023 年 32 巻 7 号 p. 435-442
Suprameatal tubercle (SMT) は, 三叉神経痛 (TN) に対する微小血管減圧術 (MVD) において, 顕微鏡視野を妨げる障害物の1つである. 肥大化したSMTが, 責任血管を確認するために必要な視野を妨げるときは, その削除が必要になることがある. 7年間のTNに対するMVD 200例の中で, 20例にSMTの削除を要した. これらの症例の臨床的特徴, SMTのサイズ, 手術所見などを解析し文献的考察を加え報告した. TNに対するMVDでは小さな障害物でさえ手術が各段に困難になるため, SMTの解剖学的特徴やそのvariationを理解することは安全で確実なMVDを施行するうえで重要と考えられる.