2023 年 32 巻 7 号 p. 443-447
血友病Aは, 第Ⅷ凝固因子の欠乏を成因とし, 先天性出血性疾患の中で最も頻度の高い疾患である. 家族歴から児の血友病が疑われる場合, 分娩損傷による出血性合併症を防ぐために器械分娩は避けるべきである. 今回, 家族歴がないために器械分娩となり, 分娩損傷による頭蓋内出血を合併し, 開頭血腫除去術を要した血友病Aの新生児例を経験した. APTTの延長は血友病の診断の鍵となるが, 新生児ではAPTTが生理的に延長しているため, それを考慮した解釈が必要である. また血友病Aに対してFFP投与だけでは止血効果は不十分となるために手術の際は注意を要する.