脳神経外科ジャーナル
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脳動脈瘤手術中の軽度低体温下一時血行遮断の効果と妥当性
井川 房夫木矢 克造勇木 清中尾 三和子岐浦 禎展佐々木 朋宏有田 和徳栗栖 薫魚住 徹
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1998 年 7 巻 12 号 p. 737-744

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抄録
今回著者らは, 脳保護の目的で脳動脈瘤手術中に33〜35℃の軽度低休温を行い, 軽度低体温下術中一時血行遮断の有用性と妥当性について考察した.1995〜1997年までに軽度低体温下脳動脈瘤術中一時血行遮断を行った15例を対象とした.転帰はgood recovery(GR)12例, moderate disability(MD)2例, severe disability(SD)1例と良好であり, 軽度低体温が原因と考えられる合併症は認められず, 本法は安全と考えられた.手術時間, 麻酔時間とも大きな延長はなく, われわれの方法は簡便であつた.遮断時間は平均26.8分で, 20分以上が6例認められたが, CTで術後の低吸収域は穿通枝領域に1例認めたのみで, 永続的神経脱落症状は認められなかつた.以上より軽度低体温は安全かつ簡便な脳保護法と考えられた.
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© 1998 日本脳神経外科コングレス

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