脳神経外科ジャーナル
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慢性硬膜下血腫術後に合併した多発性脳内血腫
山田 與徳田中 祥弘乾 多久夫鎌田 喜太郎
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1998 年 7 巻 2 号 p. 120-124

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抄録
両側慢性硬膜下血腫に対して穿頭血腫洗浄除去術, 硬膜下ドレナージ術を施行したところ, 術後, 患者は傾眠傾向が持続し, 左片麻痺が増悪した.頭部CTにて多発性脳内出血が認められた.長期にわたる脳圧迫のため脳血流不全下で自動調節機構が障害されていた脳血管に, 急激な頭蓋内圧減少により血流量が増大し血管内圧が突然上昇した結果, 血液成分が脳組織内に漏出したのが原因と思われるが, 潜在する静脈遷流障害の関与も考えられた.高齢者で脳血管障害や高血圧を有する患者, 重度の頭部外傷があった患者が慢性硬膜下血腫をきたした場合は, 特に手術時の急激な血腫排出を避け, 閉鎖式ドレナージ術など緩徐な減圧が得られる工夫がなされるべきである.
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© 1998 日本脳神経外科コングレス

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