日本臨床整形外科学会雑誌
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成長期脊椎分離症における運動療法の有効性と必要性の検討
門前 正光比留間 智康小笠原 早織松岡 素弘青木 治人
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2018 年 43 巻 2 号 p. 89-96

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抄録

目的:成長期の脊椎分離症の患者に対し,初期に下肢筋の柔軟性を評価し,運動療法を行うことで早期のスポーツ復帰が可能か検証する.

対象と方法:学校スポーツ選手17人(I群,男14人,女3人,平均年齢14.1歳,範囲12∼17歳)をfinger floor distance(以下FFD)が0 cm未満とそれ以上,straight leg raising(以下SLR)が70°以上とそれ未満,腓腹筋(膝伸展位での足関節最大背屈)が45°以上とそれ未満と各評価項目により2群に分け,スポーツ復帰までの期間を比較検討した.また,腰痛疾患がない高校トップレベルサッカー選手27人(II群,男27人,全例15歳)の入学時の筋柔軟性を評価し,I群II群間での筋柔軟性を比較した.

結果:I群では2群間の筋柔軟性とスポーツ復帰期間には有意差はないが,I群II群間のFFD,SLRの有意差があった.

考察:I群とII群との間には下肢の筋柔軟性に差があるので,スポーツに早期に復帰するためには下肢のタイトネスの改善が必要と考える.

結語:脊椎分離症を有する選手に対し,下肢筋群の筋柔軟性を獲得させる運動療法が早期のスポーツ復帰に有効である可能性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人日本臨床整形外科学会
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