急性腰痛の大部分は痛みが急速に寛解する自己完結型である.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は抗炎症作用により創傷治癒を遅らせる可能性があるため,当院では急性腰痛の鎮痛薬として原則アセトアミノフェン(AA)低量(低AA:一日1000 mg以下),日常生活動作(ADL)障害が強い症例にはAA高量(高AA:2000~4000 mg),成長期患者には投与しない,患者の希望を考慮する,を処方指針としている.本研究では初診後3ヶ月以内にVAS値が30 mm以下になった自己完結型急性腰痛症例を抽出し,症例を低AA群,高AA群,NSAIDs群,経口鎮痛薬不使用群の4群に分類して,VAS値経過を時系列データで比較した.該当症例は121例(男61,女60,平均年齢47.3歳)であった.VAS値平均値は初診から28経過日まで全ての経過日おいて4群間で有意差は認められなかった.