2016 年 29 巻 2 号 p. 193-198
セッターのセッティング位置は,レシーブの返球位置に依存する.返球位置がセッターの構えている位置から遠くても,落下点まで移動できなければならない.そこで本研究では,セッティング技能に熟達しているセッターの競技中の動きを3 次元動作分析することにより,コンビネーション攻撃のセッティングにおけるレシーブボールの落下点へ移動するための技術特性を明らかにしようとした.セッターの移動開始時から落下点への踏み込み時までの腰関節中心の上下動についてみると,レシーバーのボールインパクトにタイミングを合わせるかのように,どの分析試技においても共通にレシーブインパクト時付近では放物線を描くような動きをしていた.そして腰関節の上下動終了後に方向を変え,落下点へ向かって移動を開始していた.このタイミングでスプリットステップに似た動きを行うことは,熟練を積んだセッターに共通に見られる動きであり,未熟練者がセッティング技術を身につけようと練習する時の手本の一つになると考えられた.