認知心理学研究
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原著
外的刺激によるマインドワンダリング生起への気づき
大塚 翔関口 貴裕
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2016 年 13 巻 2 号 p. 81-91

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抄録
本研究では,外的刺激をきっかけにマインドワンダリング(課題無関連思考)への気づきが生じるかを明らかにすることを試みた.実験1では,参加者に反応に対する注意の持続課題(go/no-go課題)中,マインドワンダリングの生起に気づいたときにキー押しで報告させた.また,3種類のキュー条件試行を課題中ランダムに実施した:閾上キュー試行では赤丸のキューを300 ms,閾下キュー試行では白丸のキューを10 ms注視点画面で呈示し,キューなし試行(統制条件)ではキューを呈示しなかった.実験の結果,閾上・閾下キュー試行後に,キューなし試行後に比べて,マインドワンダリング報告数が多くなっていた.しかしこの結果は,キューが課題無関連思考それ自体を促したことを反映した可能性がある.そこで実験2で,各キュー条件試行後のマインドワンダリング生起をプローブ画面で捕捉した結果,キュー条件間でマインドワンダリング生起数は変わらなかった.以上の結果は,外的刺激が,その呈示が意識に上ることとは無関係にマインドワンダリングの気づきを促すことを意味している.
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© 2016 日本認知心理学会
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