認知心理学研究
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原著
統合失調型パーソナリティと視聴覚に同時提示した運動情報統合の関係:動的な腹話術効果を用いた検討
浅井 智久丹野 義彦
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2007 年 5 巻 1 号 p. 33-41

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抄録
本研究は統合失調型と視聴覚の情報統合の関係を検討した.統合失調型とは統合失調症の前駆段階を示すパーソナリティであると考えられている.変性脳機能間連絡仮説は,統合失調症の症状は,脳機能間の適切な情報統合ができない結果であると説明する.統合失調型でも同様に,この異なった機能間の情報統合に何らかの問題が見られる可能性がある.異なったモダリティ間の情報統合を検討できる‘動的な腹話術効果’を用いて検討した結果,統合失調型の傾向が高い人ほど,視覚刺激の影響を受けないことが示された.また抑うつや不安といった特性は,この現象とは関連がないことが分かった.よって,本研究の結果は,情報統合の困難さと統合失調型が関係していることを示唆したと言える.
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© 2007 日本認知心理学会
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