2010 年 8 巻 1 号 p. 33-40
先行研究で,2刺激を比較的短いISIやSOAで呈示する実験では,ブロック内配置を用いるとISIやSOAが短いほど刺激呈示の時間的不測性が高いという偏りが生じること,それが種々の反応測度に影響することが示された.本研究は,活性化拡散理論と矛盾した結果が得られたプライミング実験の結果もこの影響のために生じたものであったことを検証することを目的とした.SOAを実験1ではブロック内配置,実験2ではブロック間配置し,各々の実験で時間的不測性を反映する単純反応時間を測定した後,語彙判断時間を測定した.その結果,ブロック内配置ではSOAが短いほど単純反応時間が長く時間的不測性が高いことが示されるとともにプライミング効果のSOAに伴う変化が活性化拡散理論と矛盾していたが,ブロック間配置では単純反応時間がSOA間で等しく時間的不測性に偏りがないことが示されるとともにプライミング効果の変化が活性化拡散理論に一致していた.最後に,時間的不測性を考慮する必要性が論じられた.