2012 年 9 巻 2 号 p. 107-114
本研究では相関の検出と利用における小さな記憶容量のメリットについて,ダミー変数を含む多変数環境を用いて検討した.参加者は各試行において,四つの属性(色,形,大きさ,数)を持つ図形に隠された数字 (1もしくは2) を予測することを求められた.すべての属性は二値変数であり,数字と相関があるのは色のみであった.実験の結果,課題全体を通じてワーキングメモリ容量小群のほうがワーキングメモリ容量大群より課題成績が良かった.したがって,相関の検出や利用において小さなワーキングメモリ容量が有利に働くことが示された.これは小さな記憶容量には適応的な利点があることを示唆する.