論文ID: 2505
飲料を飲むとき,私たちは周囲の感覚情報を含めて味を評価している(感覚間転移).本研究では,ブランドの特徴やコンセプトに対して想起するイメージに人間の性格特性をあてはめたブランド・パーソナリティ(BP)に着目し,容器の飲み口の薄さから飲料の味への感覚間転移がBPによって促進され得るかを検討した.容器の飲み口の薄さと飲料の苦味は覚醒度の高い表象を介して連合していると考えられるため,同様に覚醒度の高いBP (Excitement次元)が喚起されることで,容器の薄さに関する視覚処理から苦味予測への感覚間転移は促進されると予測した.実験1, 2では,飲み口の薄いマグカップとExcitement次元との間に有意な連合があることが示された.実験3では,参加者がExcitement次元のカフェにいることを想像したとき,どのBPも喚起されなかったときと比較して,薄いマグカップに入ったコーヒーの苦味を強く予測した.これらの結果は,BPがマグカップの飲み口の薄さと連合があり,マグカップから予測するコーヒーの苦味への感覚間転移が,Excitement次元のBPによって生起する可能性を示している.