論文ID: 2414
ロボットの心理的擬人化は人がロボットという存在をどう扱うか決定するカギとなる.そこで,本研究はロボットの涙が心理的擬人化を促進するか検証することを目的とした.ロボットの画像に涙をデジタルで加工し,涙のある画像と涙のない画像を作成し視覚刺激とした.研究1ではロボットの画像を提示し,参加者にロボットの社会性,主体性,アニマシー,不快感について回答を求めた.涙はアニマシーの評価を向上させたが他の変数に変化はみられなかった.研究2ではロボットの画像とロボットのおかれている状況(死と別れ)を記述した短いシナリオを提示し,研究1と同様の質問に回答を求めた.涙はアニマシーに加えて社会性と主体性の評価も向上させた.したがって,本研究の結果はロボットの涙が心理的擬人化を促進する可能性があることを示しており,この効果には文脈が重要であることを示唆している.加えて,アニマシーが心理的擬人化の基礎的な側面の可能性がある.