2013 年 66 巻 2 号 p. 101-104
症例は57歳の男性.2005年5月血便を主訴に発見された直腸癌に対し超低位前方切除術を施行.病理所見はtype2,5.5×2.8cm,tub2,pMP,ly1,v2,pN0,pPM0,pDM0,pRM0.術後補助化学療法は行わず経過観察中であった.2006年7月発語のしづらさを自覚し,精査施行したところ,左前頭葉に3.5cm大の転移性脳腫瘍を指摘.脳内の他部位に転移巣を認めず,肝・肺・局所にも再発転移巣を認めなかった.左前頭葉転移性脳腫瘍に対し覚醒下開頭腫瘍摘出術および術後放射線療法(total45Gy)を行った.現在,術後5年経過し無再発生存中である.孤立性脳転移の中には,適切な治療を行うことにより長期生存が得られる症例が存在する.