2013 年 66 巻 2 号 p. 105-109
腸回転異常を伴った大腸癌に対し腹腔鏡下手術を施行した1例を経験した.症例は78歳,男性.腹部手術の既往歴なし.下部消化管内視鏡検査にて肛門縁より約50cmの部位に大腸癌を指摘された.S状結腸癌の術前診断で腹腔鏡下手術を施行したところ,腸回転異常を伴っており腫瘍は盲腸に認められた.右半結腸切除を施行,血管走行が不明瞭でありリンパ節はD1郭清となった.腸回転異常症は小児外科領域において代表的な疾患の1つであり成人例は稀である.術前に腸回転異常症の併存を疑った場合は,解剖が通常とは異なり支配血管の同定が困難であるため,MDCTなどにより腫瘍の存在部位を把握して手術に臨む必要があると考えられた.