日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
腸間膜膿瘍を形成した回腸憩室穿通の1例
奥山 隆齋藤 一幸下地 信高橋 修平
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キーワード: 回腸憩室, 穿通, 腸間膜膿瘍
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2013 年 66 巻 2 号 p. 86-90

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抄録

症例は61歳,女性.右下腹部痛と発熱を主訴に当院内科を受診し,腸閉塞の診断にて当科へ紹介となった.右下腹部に限局性の圧痛を認め,同部に鶏卵大で弾性硬の腫瘤を触知した.腹部CT検査では回盲部の腸管壁の不整肥厚と,その近傍に腸間膜膿瘍が疑われた.受診時は限局的で軽度な腹膜炎症状であったため保存的加療を行った.入院後,症状改善はみられず,小腸癌や悪性リンパ腫などの悪性疾患が原疾患であることを否定できないことから入院後4日目に手術を施行した.開腹すると回盲部腸間膜の腫瘤は周囲腸管と共に一塊となり,回腸末端から60cmの回腸が強固に腫瘤と癒着していた.手術は回盲部切除術+回腸部分切除を施行した.摘出標本では回盲弁から約2cmの回腸に腸間膜膿瘍へ穿通する憩室を認め,病理組織所見とあわせ回腸憩室穿通による腸間膜膿瘍と診断した.術後経過は良好で第17病日に退院となった.

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© 2013 日本大腸肛門病学会

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