日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
頸髄損傷後の高度排便障害に対して内視鏡的盲腸瘻造設と順行性浣腸が奏功した一例
三枝 直人中村 利夫福本 和彦今野 弘之
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2013 年 66 巻 2 号 p. 91-94

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抄録

頸髄損傷後の高度排便障害に対して経皮内視鏡的盲腸瘻造設術(Percutaneous endoscopic cecostomy;PEC)を行い,順行性浣腸(Antegrade continence enema;ACE)が奏功した例を経験した.症例は41歳,男性.16歳時にラグビー中の事故で第6/7間頸髄損傷を来し,胸部以下が不随となった.週に3回,グリセリン浣腸を約2時間にわたって4~6回繰り返して排便を得ていたが,介助を要し多大な手間を伴うものであった.転居に伴い当院を受診時,便失禁はなかったが便意の喪失がみられた.X線透視下で内視鏡を盲腸まで挿入し胃瘻造設に倣いPECを施行した後,グリセリン浣腸液によるACEを行い20分程度で排便が完了出来るようになった.PECは安全に施行可能であり,脊髄障害による高度排便機能障害患者にとって福音となる治療手段であると思われる.

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© 2013 日本大腸肛門病学会

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