2015 年 68 巻 2 号 p. 92-96
症例は88歳,男性.腹痛を主訴に近医を受診しCT検査で回腸壁肥厚を指摘された.大腸内視鏡検査により回盲部の隆起性病変を同定,生検から印環細胞癌が検出された.手術は右半結腸切除術+D2郭清を施行した.最終病理結果は,Adenocarcinoma of cecum,signet ring cell carcinoma,type3,40mm×40mm,SI(壁側腹膜),ly3,v0,N2(9/10),H0,P1,M0,Stage IVであった.大腸癌の中でも印環細胞癌は極めて稀で,進行癌として発見されることが多い.また,リンパ管侵襲が高度であること,同時性腹膜播種性転移を伴うことが多いことから,予後は不良である.そのため,治癒切除を目指しての早期発見方法,術後化学療法の検討が必要であると考えられる.