日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
臨床研究
病理組織学的に特発性大腸穿孔と診断された症例の臨床的検討
藤田 昌久石川 文彦釜田 茂幸山田 千寿兼子 耕
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 68 巻 3 号 p. 157-162

詳細
抄録

2003年1月から2012年12月までに,2施設で手術を施行し,病理組織学的に診断された特発性大腸穿孔26例を対象とした.年齢は59歳から90歳,平均76.8歳であり,性別は男性11例,女性15例であった.慢性的な便秘を12例に,便秘との関連が疑われる併存疾患を12例に,排便など発症の誘因となる動作を11例に認め,88%に便秘や排便と関連する患者因子を認めた.死亡率は27%であり,生存例と死亡例で有意差を認めた予後因子は,重篤な併存疾患と術前ショックであった.発症後は手術と集中治療により敗血症性ショックからの離脱を目指すが,予後改善には併存疾患に対する管理も重要である.生存例では術後在院期間が平均58.8日と長く,32%に療養やリハビリテーション目的の転院を要したが,術後在院期間の短縮や発症後に低下したADL改善のため,敗血症の急性期を脱した後のリハビリテーションの早期開始が必要である.

著者関連情報
© 2015 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top