日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
肝転移伴うS状結腸癌に対し腹腔鏡下結腸癌切除術施行後に門脈血栓を認めた1例
篠原 敏樹前田 好章濱田 朋倫武田 広子
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2015 年 68 巻 7 号 p. 494-500

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抄録

近年腹腔鏡下大腸切除後の門脈血栓症が稀に報告されている.今回大腸癌同時性肝転移に対し腹腔鏡下で原発切除し,その後の肝切除時に偶発的に門脈血栓を認めた1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.血便を主訴に当院を受診,大腸内視鏡検査でS状結腸に5cmの全周性2型腫瘍と腹部超音波で肝S6に3cmの低エコーな腫瘍を1個認めた.単発同時性肝転移を伴うS状結腸癌と診断した.狭窄が強かったのでまず原発切除とし,腹腔鏡補助下S状結腸切除術D3郭清を行った.病理所見はtub2,pT4a,pN1であった.術後経過は良好であった.術後14日目に肝転移評価のためCTを施行した.肝腫瘍の軽度増大と門脈右枝に5mmの塞栓を認めた.原発切除1ヵ月後に肝右葉切除で門脈塞栓ごと肝転移巣を切除した.病理では塞栓は血栓であった.腹腔鏡下手術は血栓形成のリスクが高くなる可能性があり本疾患に留意する必要がある.

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© 2015 日本大腸肛門病学会

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