2017 年 70 巻 1 号 p. 14-19
S状結腸癌に対する腹腔鏡手術において,肥満が及ぼす影響について検討した.対象および方法:2008年から2014年までに腹腔鏡手術を施行したS状結腸癌182例を対象とした.BMI≥25を基準値として,肥満群42例と非肥満群142例に分類し,患者背景,手術成績,病理結果,合併症,腫瘍学的予後に関して検討した.結果:手術時間が非肥満群と比べ,肥満群で有意に延長しており(P=0.008),出血量も非肥満群と比べ,肥満群で有意に増加していた(P=0.008).その他の検討項目で両群間に有意差を認めなかった.結論:S状結腸癌肥満患者の腹腔鏡手術は,手術時間,出血量を除けば非肥満患者と遜色ない成績が得られ,安全かつ合理的な選択肢であると考えられた.